大黒湯(目黒区)
2008年 02月 21日
中目黒駅から蛇崩川(じゃくずれがわ)緑道を南西に向かう。歩くこと約10分、閑静な住宅地、上目黒の一角に大黒湯の煙突が見えて来る。最寄り駅は祐天寺駅(駅から7分)だが、晴れた日中は、この蛇崩川緑道からのアクセスが気持ち良く、おすすめ。両道を少し左に入り建物正面にまわると、左に槙、右に松を配した壮観な外観が目に入る。暖簾をくぐると、二代目店主のKさんと奥様、息子さん夫婦の2世帯が出迎えてくれた。
大黒湯の創業は昭和35年にさかのぼる。当時は別に建物のオーナーがいたが、先代がお店をそのまま買い受け、店名も当時のものを引き継いだ。敷地は少し小さめで建物も小ぶりであるが、東京型レトロ銭湯の特徴がコンパクトに凝縮されている。まずは「一富士、二鷹、三なすび」をモチーフにしたフロント(番台を平成18年に改装)のタイル絵。マニアが写真を撮りにくることもあるという逸品。そして浴室に入ると富士山のペンキ絵と、色鮮やかな鯉のタイル絵が目に入る。ペンキ絵は中島師により1年前に描き替えられたもので、タイル絵は昭和35年当時のもの。洗い場の椅子と桶は何と木製。もちろんメンテナンスに労力がかかるが「暖かみのある素材感といい音」をお客さんに楽しんでもらいたいというのがKさんの考え。脱衣場には籐製脱衣かごもちゃんとある。
特記したいのは、お湯に関してのこだわり。ここ上目黒では、立地の問題からなかなか薪が使いにくい。そこで、お湯を柔らかくするために仕込みのお湯入れを前日に行っている。深夜の清掃を終えた後、熱めのお湯(50℃強)を浴槽に仕込んでおき、翌日の営業時間に丁度良い温度(42℃前後)に合わせるという寸法だ。こうした目に見えにくいところでのサービスへの配慮が素晴らしい。
取材をしている中で、家族4人が互いに協調しながら銭湯経営を支えている様子がいろいろな面から感じられた大黒湯。サウナなど目立った近代的な設備は無いものの、物足りなさを感じないのが不思議である。これは建物もさることながら、その運営を含めて細部にわたり東京型銭湯の古き良きエッセンスと銭湯経営の「心」を堅実に守っているゆえなのかもしれない。
【DATA】だいこくゆ
住所:目黒区上目黒4-25-10
電話:03-3712-2641
営業時間:15:00~24:30
休業日:月曜日
交通:東急東横線[祐天寺駅]より徒歩7分





