個性派銭湯セレクション その十 品川区_富士見湯

★木の浴槽がある銭湯★(1010誌 106号掲載バックナンバー)

 ありそうで、なかなか無いもの…銭湯空間における木の浴槽は、そんな存在なのかもしれない。実際、木の浴槽を使用している銭湯は都内に数軒しか無い。ハードな使用環境が前定とされる公衆浴場の性格上、木の浴槽がどのようにメンテナンスされているのか?興味津々で品川区、富士見湯を訪ねてみた。
 富士見湯の浴槽で使用されている木は、古代檜という素材だ。古代檜とは台湾産のタイワンベニヒおよびタイワンヒノキを指し、標高2000〜2700mに自生、樹齢千〜三千年を数える非常に貴重な巨木だ。また天然ヒノキチオールが多量に含まれる精油のはたらきにより、耐水性や耐久性に富むとされている。
 さてその古代檜のメンテナンスや如何に。「タイルの浴槽より簡単かもしれません」若旦那、渡部さんの言葉は、肩すかしを食らうほどあっさりしたものだった。「現在の浴槽は改築した平成8年から14年間使い続けている物です。タイルのメンテナンスと違う点は週に一回専用のリンスを全体にすることと、3〜4年に一度表面の木を削ることぐらいでしょうか」とのお話。毎日の掃除はナイロンフレッサーで、ゴシゴシこするのだという。
 実際に古代檜浴槽の状況を観察すると、日光照射で若干の苔が発生した跡が見られる(これは避けられない)ものの、不潔感を感じさせるほどではなく、とても15年近く水にさらされ続けている木とは思えない耐久性を示している。
きちんと掃除されたその他のタイル面や浴槽などを見ていると、毎日丁寧に木の浴槽を掃除している渡部さんの姿が目に浮かんできた。「掃除が簡単」と言えるのは、渡部さんの浴槽への愛着の故かもしれない。

【DATA】ふじみゆ
住所:品川区東中延1-3-8
電話:03-3782-6120
営業時間:15:15~23:45
休業日:月曜日
交通:東急池上線[荏原原中延駅]より徒歩3分
東京銭湯お遍路マップ:31ページ品川区9番

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空間の中央に配置された木の浴槽。その他部位の意匠にも個性が感じられる。

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タイルの浴槽には北投石が常時設置されている(円筒形のケース部)。「通常のお湯とは全く体感が違う」とお客さんに非常に評判が高く、導入後は利用者がかなり増えた。玉川温泉産の貴重な石という事で「是非一度お試しいただきたい」富士見湯のもう一つの個性。
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by space88 | 2010-12-02 18:40 | ★1010/個性派銭湯セレクション

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


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