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★浴室に中庭がある銭湯★(1010誌 97号掲載バックナンバー)

 坪庭、縁側、脱衣室…。銭湯には和の風情がよく似合う。かって坪庭は銭湯銭湯の定番アイテムのひとつだった。しかし高度成長の時代以降、多くの銭湯で坪庭だった空間がいつしかコインランドリーにとって代わってしまった。とても残念なことだが、それでも脱衣室に面する坪庭を残す「粋な」銭湯は時々お目にかかる事ができる。
 しかし浴室に面する中庭を持つ銭湯となると、かなり珍しい。私の知る限り都内で二つしかない。おとめ湯はそのひとつである。
 その中庭は、男女浴室の間にどかっと配置され、目隠しを兼ねつつ光と風、そして緑を浴室にもたらしている。富士山の溶岩石で造られた庭山が独特の雰囲気だ。さらに庭の浴室側は池になっており、ガラス越しに水中を泳ぐ金魚の姿をカラン前面から見る事ができる。また写真にはないが、おとめ湯は脱衣室側にもたいへん立派な庭が残されている。
 これだけの庭々、管理面はかなり大変だろう事が想像される。夏は毎日、冬でも二日に一度は清掃の手を入れるということだ。「いくら手がかかろうと、この中庭だけはつぶせません」オーナーの中谷さんは語る。ランドリーのように直接的にお金を稼ぐ空間ではないが、本物の癒しが求められる時代に「光・風・緑・水」をもたらす銭湯の庭には、他には代えがたい価値と魅力がある。

【DATA】おとめゆ
住所:文京区千石3-31-12
電話:03-3941-8661
営業時間:16:00~24:00
休業日:月曜日
交通:都営三田線[千石駅]より徒歩10分
東京銭湯お遍路マップ:14ページ6番

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光と風、そして緑を屋内によびこむ中庭。山のような岩石は富士山の溶岩石。現在では流通しにくい貴重な素材だ。カランの前からガラス越しに池の中を泳ぐ金魚が見える。


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屋根から見た中庭の状況。池の金魚を食べてしまう白鷺対策に、侵入防止のネッ
トが三年前に張られた。


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図:浴室略平面図。中庭をはさんで男女浴室が配置されている。
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by space88 | 2009-04-14 18:51 | ★1010/個性派銭湯セレクション

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


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