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稲荷湯(北区)

★「風呂屋」の心意気が支えるレトロ銭湯★(1010誌 74号掲載バックナンバー)

 「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました〜。」脱衣室に心地よく響き渡る番台からの声。古き良き銭湯の姿を今に伝える西巣鴨の稲荷湯は、住宅街の路地の中に立派な破風構えでたたずんでいます。天井が高く開放的な雰囲気は、まさに本物のレトロ銭湯。現在の建物が建てられたのは昭和5年というから、なんと今や築75年となるわけです。テレビや雑誌の撮影、ラジオ取材などに使われることも多く、なんとあのモーニング娘。も、一度取材に訪れたという名所。今をときめく放送作家の小山薫堂(「料理の鉄人」などの人気番組を手がけた作家さんです。)も稲荷湯ファンのひとりで、雑誌などで、御自身のお気に入りの場所として、稲荷湯を紹介しています。
 そんな稲荷湯が人気を呼ぶ理由は、ただ「古いから」というだけではなく、ペンキ絵や破風造りはもちろんの事、銭湯の特徴的な建築部位が残されて、またそれがきちんと手入れされていることにあるようです。脱衣所には風情ある坪庭が残されて、池には鯉が泳ぎ、水車がゆっくり回っています。床はきちんと磨かれて、高窓から入る光を明るく反射します。浴室にはいつも清潔な木桶が置かれ、年に一度(正月に)新品に取り
替えられます。靴脱ぎ場の飾り欄間や格子戸がつくり出す和の雰囲気も、なかなかのものです。
 歴史を受け継ぎつつ番台に立つのは、奥様。「今は亡くなりましたが、父の番台の声は近所に響き渡ると評判でした。今の時代は他人とのコミュニケーションが少なすぎる。挨拶は、コミュニケーションの基本で、私たちの代でも大切にしていることです。」「それと父がこだわっていたのは、縁いっぱいにはられた湯の量と、熱い湯であること。少しでもお湯面の高さが下がると番台に呼びつけられたものです。湯の量と熱い温度も、変わらず受け継いでいるところですね。」レトロ銭湯の雰囲気は、建物だけでなく先代からの「風呂屋」の心意気によっても支えられているようです。

【DATA】いなりゆ
住所:北区滝野川6-27-4
電話:03-3916-0523
営業時間:14:50~25:30
休業日:水曜日
交通:都営三田線[西巣鴨駅]より徒歩6分、JR埼京線[板橋駅]より徒歩6分

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by space88 | 2005-04-20 22:20 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


by space88
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