カテゴリ:★1010/ちょいとひとっ風呂( 18 )

大黒湯(目黒区)

★東京型銭湯の心と形がコンパクトに凝縮★(1010誌 90号掲載バックナンバー)

 中目黒駅から蛇崩川(じゃくずれがわ)緑道を南西に向かう。歩くこと約10分、閑静な住宅地、上目黒の一角に大黒湯の煙突が見えて来る。最寄り駅は祐天寺駅(駅から7分)だが、晴れた日中は、この蛇崩川緑道からのアクセスが気持ち良く、おすすめ。両道を少し左に入り建物正面にまわると、左に槙、右に松を配した壮観な外観が目に入る。暖簾をくぐると、二代目店主のKさんと奥様、息子さん夫婦の2世帯が出迎えてくれた。
 大黒湯の創業は昭和35年にさかのぼる。当時は別に建物のオーナーがいたが、先代がお店をそのまま買い受け、店名も当時のものを引き継いだ。敷地は少し小さめで建物も小ぶりであるが、東京型レトロ銭湯の特徴がコンパクトに凝縮されている。まずは「一富士、二鷹、三なすび」をモチーフにしたフロント(番台を平成18年に改装)のタイル絵。マニアが写真を撮りにくることもあるという逸品。そして浴室に入ると富士山のペンキ絵と、色鮮やかな鯉のタイル絵が目に入る。ペンキ絵は中島師により1年前に描き替えられたもので、タイル絵は昭和35年当時のもの。洗い場の椅子と桶は何と木製。もちろんメンテナンスに労力がかかるが「暖かみのある素材感といい音」をお客さんに楽しんでもらいたいというのがKさんの考え。脱衣場には籐製脱衣かごもちゃんとある。
 特記したいのは、お湯に関してのこだわり。ここ上目黒では、立地の問題からなかなか薪が使いにくい。そこで、お湯を柔らかくするために仕込みのお湯入れを前日に行っている。深夜の清掃を終えた後、熱めのお湯(50℃強)を浴槽に仕込んでおき、翌日の営業時間に丁度良い温度(42℃前後)に合わせるという寸法だ。こうした目に見えにくいところでのサービスへの配慮が素晴らしい。
 取材をしている中で、家族4人が互いに協調しながら銭湯経営を支えている様子がいろいろな面から感じられた大黒湯。サウナなど目立った近代的な設備は無いものの、物足りなさを感じないのが不思議である。これは建物もさることながら、その運営を含めて細部にわたり東京型銭湯の古き良きエッセンスと銭湯経営の「心」を堅実に守っているゆえなのかもしれない。

【DATA】だいこくゆ
住所:目黒区上目黒4-25-10
電話:03-3712-2641
営業時間:15:00~24:30
休業日:月曜日
交通:東急東横線[祐天寺駅]より徒歩7分

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by space88 | 2008-02-21 18:10 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

仙石湯(渋谷)

★ピッカピカのお風呂屋さん、ここにあり。感動の清潔感を味わう!!★(1010誌 89号掲載バックナンバー)

 幡ヶ谷駅から南に歩くこと約3分、駅前の喧騒をぬけようかという頃、通りの右手に仙石湯が見えて来る。華美な看板などは一切無く、渋い入口のレトロビルといった外観だが、お店に入ってびっくり!脱衣室も浴室もピッカピカに光り輝いている。銭湯に通い始めて10年以上になるが、過去に行った銭湯の中でも1〜2を争う清潔度だ。素晴らしい!いきなり心をつかまれてしまった筆者。お話しいただいたのは上品で気さくな女将さん。
 創業は昭和26年。創業者の先代がこの地にもともとあった銭湯を購入し、店名は当時のものを引き継いだとのこと。そして昭和47年に現状のビル型の銭湯に建て替え、約10年前の中普請を経て現在に至る。お店のこだわりは、天然ハーブを使用した薬湯。ラベンダーやミントなど6種類のメニューをそろえる。天然モノのハーブ使用は、高価だし、管理に手間(残留塩素濃度と、ハーブ色素維持の両立)がかかるため、銭湯ではなかなかお目にかかれない贅沢なサービスだ。もちろんお客さんには大好評!
 さて浴室清掃の充実ぶりについて。担当しているのは、息子さんと、その友人。閉店後ランドリーなども含めて二人で3〜4時間ほどかけてきっちりと行う。そのノウハウは、二代目のご主人が作ったマニュアルを息子さんたちが合理化させたものだそう。鏡、ステンレス枠、カラン金物、天井のバスリブ、床、タイル目地にいたるまで、まるで新築のように光り輝いている。写真でも伝わるかもしれないが、この感激は実際に見てもらう以外に無い。業界関係者から、お客さんまで沢山の人に見てもらいたくなる。
 もう一つ、このお店の特徴。それはお客さんがみなマナーが良く、あたたかな雰囲気の銭湯だという事。入浴している何気ないお客さんのコミュニケーションや行動からそれを感じる。お客さん同士仲良しの人たちも多く、背中を流しあうお客さんもいるという。いい人が多そうな銭湯だ。持論では「銭湯のお客さんの質は、経営者の人がらに似る」というのがあるが、仙石湯さんはまさにそんな銭湯なのかもしれない。

【DATA】せんごくゆ
住所:渋谷区西原2-27-5
電話:03-3466-7219
営業時間:16:00~24:00
休業日:月曜日
交通:京王線[幡ヶ谷駅]より徒歩3分

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by space88 | 2007-12-19 18:26 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

旭湯(目黒区)

★なるほど、銭湯の本質とは「いのちの洗濯をするところ」★(1010誌 88号掲載バックナンバー)

 都立大学駅から徒歩1分。駅からアクセスの良い、平町商店街の入口に位置する旭湯。営業前の入口には、中島氏によるペンキ絵富士山(7〜8年前の作)が描かれたシャッターが下りている。このシャッターをカラガラと上げると、元気いっぱいの孫兄妹(4代目)とともに、二代目女将、三代目若旦那が笑顔で出迎えてくれた。
 旭湯の創業は昭和10年にさかのぼる。運良く初代建物は戦災での建物消失を避け、その後昭和47年に現在の建物に建替え、平成4年の大がかりな中普請(サウナとフロントを設置)を経て現在に至る。構造材は良材が使用されているため、築35年には見えない感じで、掃除もよく行き届いている。
 オーソドックスな脱衣室は、やや狭いながらも高い天井が気持ち良い。ちょっと珍しい小さめの個人ロッカーがあり、これがかわいいデザインだ。1月あたり¥200-で借りる事ができる。浴室は、こちらもオーソドックスな木造の高い天井で、昼間は光がよく入る。ペンキ絵が無いものの、森の風景がプリントされた浴室用の壁紙が正面に広がる。夜間はこの壁紙が照明でライトアップされる。このような壁の設計はビル型銭湯で時々みかけたことがあるが、ここ旭湯のように昔ながらの木造銭湯で見るのは初めてだ。間口が広く、天井が高い空間の壁一面が写真で占められると、空間がより広く感じる効果をもたらす。シャワーブースは2組あるが、ひとつは湯出しノズルが側面にいくつも付いているボディマッサージ系のタイプ。サウナ室は1時間までの使用なら無料。高湿度により発汗作用を促すミストサウナなので低温(45度程度)で比較的入りやすい。
 聞けばこの三代目若旦那は、1年ほど前に脱サラしてこの店を継ぐ事を決意したのだという。業界にとっては奇特な存在だ。曰く「まだまだ2年生なんで、勉強する事ばかりでいろいろと大変です」とは言いながら、いろいろな経営アイデアを模索中の様子。二代目女将の話から出てきた、銭湯は「いのちの洗濯をするところ」〜そんな風呂屋精神を引き継ぎつつ、若い力で銭湯業界の明日をになってもらいたい。

【DATA】あさひゆ
住所:目黒区平町1-25-23
電話:03-3717-2641
営業時間:15:30~24:00
休業日:月曜日
交通:東急東横線[都立大学駅]より徒歩1分

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by space88 | 2007-10-21 18:38 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

武の湯(渋谷区)

★驚きの経営努力「お客さん第一主義」をめざして★(1010誌 87号掲載バックナンバー)

 「お客さん第一主義」の経営。あたりまえのようであるが、悲しいかな、銭湯業界ではなかなかこの言葉を素直に聞くことがない。しかし、ここ武の湯ではこの言葉が店全体の運営に反映され、独自のサービスが様々な形で展開されている。まずは営業時間。なんと平日午後2時から深夜2時まで営業。これに加え、日曜は朝6時からの朝湯をやって、そのまま休憩無しで深夜2時まで営業する。これだけ営業時間の長い銭湯もなかなか無いだろう。これはお客さんの要望に応えたもので、もともと深夜1時までだったのが、1時半になり、2時になったのだという。「もうこれ以上は無理」と女将さんが語るまでに、営業努力が極められている。朝の6時からの朝湯というのも驚きだ。これはあるデータによると、6時から9時が最も朝湯のニーズ高い時間で、そこから設定されたものだという。ご主人は、朝湯をやるならこの時間でないと無意味であるとまで言い切る。平成元年に始められた朝湯は、狙いどおり老若男女の客層が朝6時の開店前に並ぶ状況になっているが、その宣伝(朝湯のプロモーション)には時間とお金をかけた経緯がある事を付け加える必要がある。何と朝湯の開始当初はテレフォンカードをプレゼントしていたというのである。しかもそれがオリジナルデザインで、経費としては¥960-。1人あたり¥500-以上の赤字ということになる。必要経費をきちんと確保して、プロモーションの継続に努める、そんな攻めの経営姿勢に共感する。
 店内のサービスも盛りだくさん。新型のマッサージ機が男女に各3〜4台ずつ。女性側には「ジョーバ」というフィットネスマシーンが置かれ、これが何と使用無料。そして血圧計と血流計もあり、これも無料。体脂肪計(これだけ¥50-)もある。決して安い投資では無いはずであるが、これもお客さんの「健康に対する関心」というニーズに応えたもの。その他ラドンやサウナ、水風呂コーナー、浴槽は中温と高温を用意と、浴室のアイテムも充実。飲用冷水器まである。とにかく細かなサービスの積み重ねが素晴らしく、それに応える形でお客さんも当然多い。この経営姿勢、お客さんだけでなく、是非他のお風呂屋さんにも感じてほしいと思ってしまった。

【DATA】たけのゆ
住所:渋谷区幡ヶ谷3-45-2
電話:03-3378-5005
営業時間:14:00~26:00(日曜朝6:00〜26:00、祝日12:00〜26:00)
休業日:月曜日(祝日場合は翌日休)
交通:京王線[幡ヶ谷駅]よりバス[7号通り]下車、徒歩3分

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by space88 | 2007-08-21 18:51 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

大黒湯(北区)

★銭湯+公民館=「コミュニティ・セントウ」第一号店★(1010誌 86号掲載バックナンバー)

 コミュニティ・セントウ事業に参画した第一号店である大黒湯。この事業は、地域の活性化と銭湯の活性化の相互作用を目指す構想で、コミュニティ部門=いわゆる公民館を二階に造り、区が運営するというものである。銭湯のコミュニティ施設としての位置付けは古くから取り上げられているが、行政と連動した施設として、それを最初に実現化したのがこちら北区の大黒湯であった。しかしコミュニティ機能は、ハードだけで成立する問題ではない。むしろソフトの方が重要視されるべきである。現在コミュニティ部門の運営は区が単独で行っているようだが、当初の目的を継続するためには、銭湯の機能と公民館の運営が相互リンクする「プログラムづくり」と「運営体制」が望まれるところである。
 そんな中にあって、銭湯本体のソフト面においてのコミュニティ機能はもちろん大黒湯の大きなテーマである。地域がら高齢者が多いので、ご主人はコミュニケーションの基本である「お客さんとの対話」を大切にしている。時には長話となることもあるが、それもお客さんにとっては大切な時間。21年前のコンセプトを今できることとしてフロントで継続している。単純なことが大切である。
 ハード面=施設面では、昨年浴室をリニューアルしてイメージを一新した。もとの建築躯体が堅牢な造りなので、内装が新しくなれば、築21年の建築にはなかなか見えない。浴室はトップライトからの自然光で、ビル銭湯形式ながら日中はとても明るい。男性側には露天風呂もあり、旅館風な雰囲気を演出している。サウナ空間が広めなのも特徴的で、サウナ利用者にはちょっとした専用のカランスペースもある。
 「新しい物好き」と自認する大黒湯のご主人。確かに20年前のコミュニティ・セントウ事業には、銭湯経営の新しいビジョンへの可能性が内在していたに違いない。銭湯経営のフロンティア精神が、この建物とともに次世代に受け継がれ、そして発展していってほしいものである。

【DATA】だいこくゆ
住所:北区上中里
電話:03-3919-4476
営業時間:15:00~24:00
休業日:第2・4火曜日
交通:JR京浜東北線[上中里駅]より徒歩2分

写真(a)トップライトからの光が明るい浴槽。
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写真(b)男湯には温泉風情の露天風呂あり。
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写真(c)足ツボを刺激する玉石敷き。
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写真(d)広めのサウナはゆったりくつろげる。
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by space88 | 2007-06-09 11:04 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

上越泉(中野区)

★現代に残る「昔ながら」のコミュニティ銭湯★(1010誌 85号掲載バックナンバー)

 「うちの長女は、二才の時から番台に上がってますからね。」かなりの英才教育である。子育ての思い出話を、明るく人なつっこい笑顔で話すのは、この店の看板女将。三人の娘さんを番台〜フロントで育てた。本人希望により名前は伏せるが、本当にお風呂好きで、毎週の休日は、今となっては立派に成人した娘さんたちと都内のお風呂巡りをする。
 ひと昔前、銭湯は町の社交場であった。「娘たちは、脱衣室で育ったんですよね。いろんな人に面倒を見てもらいながら。時にはお風呂も入れてもらったりして。本当に皆さんには感謝しています。」「フロントにしたのは、娘の要望なんです。当時中学生だった娘が番台に立つのに、男の脱衣室を見る事を同級生に冷やかされて、気にしていたらしくてねぇ。」「誕生日会はお風呂場でやったんですよ。広いからクラスのみんなを差別無く呼べたんですよね。その時呼んだ子たちには今でも覚えてもらってますよ。」まるで絵に描いたようないい話だが、本当の話。
 女将の信条は「お客さんに気持ちい〜な〜」と思って帰ってもらうこと。そのためには、毎日の仕事にぬかりが無い。平均的な一日を紹介すると、まず起床して、食事を済ませたら、脱衣場の掃除と鉢植えグリーンの世話を開店時間の15:30までに慌ただしく、しかし丁寧に行う。開店後もタイミングを見て頻繁に店内の掃除。お店の営業時間は午前1:00までだが、ここからがすごい。まず終業後は、当日のサービスを反省しながら、店の風呂に入る。風呂上がりに、ご主人とともに遅い夜食をとると、この時点で午前二時を過ぎる。その後浴室の掃除にはいり、最後に(翌日光が当たる浴室に)鉢植えグリーンの移動をすませ、長い一日が終了する。この時点で朝の五時をまわる。風呂屋の宿命とは言え、ハードな毎日だ。
 この店を支えているのは、何と言っても女将の笑顔とフロントでの会話。フロントには快活な声が絶えない。年々数が減っていく銭湯にあって、店の外観だけでなく、お客さんとの近しいコミュニケーション形態をも今に残す、「昔ながら」のコミュニティ銭湯である。

【DATA】じょうえつせん
住所:中野区野方1-51-10
電話:03-3388-9445
営業時間:15:30~25:00
休業日:不定休
交通:JR中央線[中野駅]より徒歩10分

写真(a)浴槽から望む、清潔感あふれる浴室。
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写真(b)かわいい緑が沢山の、明るいロビー。
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写真(c)狭いながらも、い〜感じの露天風呂スペース。
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写真(d)フロント明るい声が聞こえてくる。昔ながらの外観。
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by space88 | 2007-04-09 11:10 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

大星湯(新宿区)

★AED救命×盆栽。地域のためのマジモードコミュニティ施設★(1010誌 84号掲載バックナンバー)

■「AEDってご存知ですか?自動体外式除細動器といって、簡単に言えば心臓が突然止まりそうになった時に電気ショックを与えて、心臓の動きを元に戻すものです」熱っぽく語るのは大星湯三代目の若旦那、Mさん。いきなりで面食らったが、AEDというこの機器は数年前に医師や救急救命士に限らず、一般市民に使用が認められたもので、それを全国の公衆浴場で一番最初(平成17年)に設置したのが大星湯なのだそう。それがフロント横の棚に常設されている。
 Mさんは、応急手当普及員の資格を取り、平成10年から救命講習会の企画・指導を始めた。年に数回行われる講習会の受講生は主に銭湯のお客さんたちで、現在1030人の受講者が生まれている。講習会の内容は、異常時の「意識確認・沈没防止・湯栓抜き・人体搬出の仕方・AEDの使い方」など。銭湯において、風呂場での緊急の対処法を講習すると、救命受講経験者が、たいていの時間帯はお客さんとして利用していることになり、異常時に早期発見対応の可能性が高くなる。客層が高齢化している現在、その意義は大きい。
 そんなシリアスイメージの特徴がある一方で、大星湯にはソフトイメージのもう一つの特徴がある。盆栽である。毎週取り替えられる盆栽が置かれるのはフロントの前。担当は二代目で現在の社長さん。40年のキャリアと、その人がらから紡ぎ出される作品は、人をひきつける癒しのオーラを発しているかのよう。盆栽が何気ないコミュニケーションのきっかけとなり、お客さん側とお店側、あるいはお客さん同士の交流が生まれる。世知辛いこのご時世、そんな小さなコミュニケーションが大切なのではないかと思う。
 「地域のためのコミュニティ施設」とは銭湯に望まれる姿としてしばしば語られるフレーズであるが、大星湯はその機能を「救命・盆栽」というジャンルを通じて具現化している。Mさんは語る。「銭湯は深夜まで開いています。地域の救急の拠点になりたい。」ボランティアである。本気モードである。

【DATA】たいせいゆ
住所:新宿区市谷台町18-3
電話:03-3351-7625
営業時間:14:30~24:30
休業日:月曜日
交通:都営新宿線[曙橋駅]より徒歩6分

■記録:天気_晴れ 入湯時間_15:00〜15:30 入湯者数_5人〜4人
■暦:律動の月3日 KIN91 青い宇宙の猿
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by space88 | 2007-02-15 21:36 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

第二かねき湯(渋谷区)

★しっとり落着きある、都会の隠れ家的銭湯★(1010誌 83号掲載バックナンバー)

 様々なイベントや展示会などが開催される「オペラシティ」が建つ初台から徒歩で8分ほど。すぐそこは都心なのに、閑静な住宅地…そんな意外性のある場所に、第二かねき湯は立置している。建物外観は温泉マークや「ゆ」の文字も見当たらず、特別な看板も無い非常にすっきりした造り。煙突も地震時の倒壊を危惧して1/3程度にカット(燃料がガスになったため)されており、ここが銭湯だということに気づかない人は多いかもしれない。
 店内に入るとまず目に入るのは、左右対称に配置された藍色ののれんと、古木色(焦げ茶色)に塗装された腰壁のフロント。落着いた色合いで統一されている。ロビーはガラス張りで、外に見える植栽の緑が鮮やかだ。置いてあるソファーもレトロ調で和む感じ。ここでは毎週水曜日に入荷される、少年漫画誌(サンデー、ジャンプ、マガジン)と週刊女性の最新号を読むことができる。脱衣室に入ると、街灯式のスタンドライトが目をひく。店の全体感として、木の質感が生かさた「大正ロマン」的なインテリアコーディネイトといった印象を受ける。
 浴室は今年の春に二回目の中普請がされて真新しく、清掃も行き届いており、清潔感いっぱい。今回の中普請で、浴槽の大きさを少し大きくし、カランの間隔を広めにしたということで、すっきりとゆとりあるスペースとなった印象だ。カランの照明が間接照明的に設置されているなど、浴室も普通の銭湯とは多少雰囲気が違う。その他浴室には男女ともサウナが設置されている。
 客層は、ほとんどが近隣のお客さんだが、オペラシティに訪れた遠方のお客さんも時より立ち寄ることがあるという。そんなお客さんには無料の貸しタオルと、¥100-の手ぶらセットが喜ばれているとのこと。初めての来訪者には、この銭湯を発見するのは少し難しいかもしれないけど、オペラシティを訪れる機会がある人は、独特の雰囲気を持つ第二かねき湯の、都会の隠れ家的銭湯風情を楽しんでみてはいかが?

【DATA】だいにかねきゆ
住所:渋谷区本町1-31-2
電話:03-3377-2088
営業時間:16:00~25:00
休業日:月曜日
交通:京王線[初台駅]より徒歩8分

写真(a)のれんと木腰壁の素材感がマッチするフロント。
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写真(b)銭湯らしからぬ、あっさりした表情の外観。
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写真(c)街灯とベンチが大正ロマン感を演出?
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写真(d)今年、中普請をすませた真新しい浴室。
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by space88 | 2006-12-09 11:15 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

第一宝湯(杉並区)

★薪で焚く、柔らかいお湯が心にしみる★(1010誌 82号掲載バックナンバー)

 杉並の住宅地にひょいと頭を見せる煙突。その煙突を目指して歩くと重厚な破風を持つ第一宝湯の入口が現れる。JRまたは丸ノ内線荻窪駅から徒歩で約10分。話をしていただいたのは、杉並銭湯きってのおしどり夫婦、金子朝男さんと哲代(たかよ)さんのお二人。おしどりなのには理由がある。これまで転々と都内各地の風呂屋の番台を預かって、二人で苦労を分かち合って来たからだ。そして現在の第一宝湯を切り盛り始めたのが、平成9年から。営業時間ずっと、フロントから裏方まで全ての仕事を二人でこなしているというのだから頭が下がる。薪で湯を沸かすのも、もちろん二人の仕事となるが、これがなかなかの重労働。ガスのようにスイッチポンでほったらかしておくわけにはいかない。朝男さんは、家事も並行してきりもりする哲代さんのために、くべやすい大きさの薪を釜の近くにそろえて置いておくのだという。現在、開店時から閉店時まで通して薪で湯を沸かす銭湯は、都内では非常に珍しくなってしまったが、薪で沸かした湯は本当に柔らかく、肌にやさしい。これはこの店の造りと同様、古き良き銭湯の名残であり、ここの自慢の一つである。
 建築的に少し変わっているのがフロントの形式。もとの建物は、昭和の銭湯らしく番台形式であったが、平成5年に現在の形式に中普請された。しかしフロントの壁は2M程度の高さで、天井には達していないため、閉鎖感が抑えられている。そして天井が高い格天井の脱衣室には、有名人のサイン色紙がポツリポツリ。ココリコさん、柄本明さん、千田光男さん、内山信二さん、体操のお兄さんの佐藤弘道さん、などの名前が並ぶ。不思議と芸能界との縁があるらしい。ペンキ絵のある浴室はもちろん天井が高い。白いタイルが使われていて、清掃もきっちりされているため明るい印象。帰り際にお湯をいただいた。やはり柔らかい!やはり、薪で沸かした湯の質は明らかに違う!この湯から、じわ〜と感じる優しさは、おしどり夫婦の愛情の反映なのかもしれない。

【DATA】だいいちたからゆ
住所:杉並区天沼3-38-12
電話:03-3398-2392
営業時間:16:00~25:00
休業日:水曜日
交通:JR中央線[荻窪駅]よりバス[杉並第5小学校前]下車、徒歩3分


写真(a)重厚な破風を持つエントランス。
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写真(b)おしどり夫婦がお店を切り盛り。
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写真(c)中島氏による定番富士山のペンキ絵。
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写真(d)立派な格天井の脱衣室天井が高い。
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by space88 | 2006-10-09 11:24 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

平和浴泉(中野区)

★フロントの明るい挨拶がお店の売り。常連客も仲がいい!★(1010誌 81号掲載バックナンバー)

 「こんにちは!いらっしゃいませ〜。昨日はどうもありがとうございましたぁ!」フロントから明るい声が脱衣室まで聞こえて来る。声の主はお店の顔、中川弘子さん。「お客さんにはやさしく親切に」がモットーで、特に年配のお客さんには配慮をかかさない。この調子で、何と毎日ほとんど交代無しでフロントに座ると言うから、その働きぶりはすごい。そんな心のこもった笑顔の接客は、お客さんにも伝わるものだ。お客さん同士が仲が良しでコミュニケーションも多く、洗い場や脱衣室では常連客同士、自然に高齢者のケアをする姿をよく見かけるという。
 一方、裏方を担当するのは息子の中川弘幸さん。なにせスタッフの頭数は母子の二人だけなので、仕事量は多い。力を合わせてお店を切り盛りする、その中川家が少し変っているのは経歴。いわゆる業界で言うところの「預かり」家業を弘幸さんのおじいさんが、定年後の仕事として中野北口にスタートしたのが始まり。その後、横浜〜練馬の店を経て、現在の中野南台の地に再び戻った。弘幸さんは店を引き継いでまだ二年しか経っていないが、その働きぶりは小気味良い。
 浴室の特徴は、男女それぞれに低温サウナ(50℃前後)があり、その隣に立ちシャワーブースが3つあってカラフルなこと。そして、女性の脱衣室にはいろいろな低料金(¥20〜)のサービスチェアがあること。ベルト式のシェイプアップマシン、そして昔ながらのマッサージチェアやドライヤーチェアまでバラエティゆたか。
 そんな平和浴泉のお店の「売り」を中川さんに聞いてみた。「うちは設備も広さも普通だし、本当に標準的な店だからねぇ。特別無いけど、しいて言えばお客さんとのコミュニケーションかな?」いや、やはりそれが何より大切なこと。高齢者への配慮、つまり弘子さん人気は、区のイベント「生き生き入浴」の時の利用者の多さにあらわれている。せち辛い世の中、お客さんに声を掛けて心を交わす。これ、あらためてフロント業務の基本でしょう!?

【DATA】へいわよくせん
住所:中野区南台5-9-21
電話:03-3381-6586
営業時間:15:00~24:00
休業日:水曜日
交通:東京メトロ丸の内線[方南町駅]より徒歩10分

写真(a)ずらり並んだサービスチェア群(女湯のみ)
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写真(b)フロントのコミュニケーションは明るく笑顔。
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写真(c)三つ並びのシャワーブース。タイルがカラフル。
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写真(d)浴槽に入り洗い場をのぞむ。
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by space88 | 2006-08-09 11:28 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


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