丸正浴場(世田谷区)

★23区内でたぬきや蛇が出る?ゆったりとした空気が流れる環境の丸正浴場★(1010誌 93号掲載バックナンバー)

 世田谷区、喜多見。銭湯マップで確認してみると、この銭湯1軒のための別枠地図がレイアウトされている。「たぬきや蛇が出てくる事も珍しくないですよ。でも最近はあまりカエルを見かけなくなりましたね〜」という奥様の話。23区の最南西で狛江市との隣接地。小田急線の成城学園駅隣、喜多見駅から10分ほど歩く。世田谷通りを越えたあたりから緑が多くなり、樹齢の高そうな立派な木が目立ち始める。小さな畑も所々に見られる。そんな区内らしからぬ、非常にゆったりとした空気が流れるエリアに丸正浴場は位置している。
 創業は昭和42年。銭湯最盛期のこの当時、先代がなんと60才で新規開業。店名は今は亡きご長男の名前にちなんで命名された。周囲にはその浴場名を冠した小さな商店街があった。現在でもそのうちの数店が残っており、集客数が多かった当時をしのばせる。建物はその後、平成元年に中普請をしてフロント形式となり、現在に至っている。
 お店を支えているのは、御主人と奥様、そしてお姉様と番頭さんの4人。こだわりは薪で沸かした柔らかいお湯と、ぬくもりのある桧の桶。毎日専用の桶洗い機で手入れされている、ありがたい備品だ。また水風呂の浴槽には美肌効果のある黒湯が使われている。
 お客さんは、学生さんと高齢者、そして地域がらか植木の職人さんなどが多いという。高齢のお客さんにとって「銭湯は天国」であり、大切なコミュニケーションの場でもある。中には「今日は風邪でお風呂には行かないけど、他の人に心配しないように伝えておいてほしい」というような電話をかけてくるお客さんもいるという。銭湯がコミュニケーション施設としてリアルに機能していることを実感する話だ。「そんなお客さん達のためにも、続けられるところまでこの店を存続させたい。」と語る御主人。趣味は伝統芸能の神楽。なるほど、銭湯そして神楽。今後、希少となってしまうであろう日本文化のために、公私とものご活躍を期待しつつ、お店をあとにした。

【DATA】まるしょうよくじょう
住所:世田谷区喜多見4-36-16
電話:03-3417-6804
営業時間:15:00~23:00
休業日:水曜日
交通:小田急線[喜多見駅]より徒歩10分

写真(a)モザイクチップのタイル絵が印象的。
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写真(b)木の桶は、暖かい感触で音も心地よい。
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写真(c)海の中をモチーフにした色彩がかわいらしい。
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写真(d)開店直後、明るいうちから店はにぎわう。
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写真(e)フロント担当、笑顔が若々しい女将。
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写真(f)ロビーわきの小庭に、ゆとりと癒しを感じる。
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写真(g)天井の高い、ベーシックな東京型銭湯空間。
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by space88 | 2008-08-20 10:06 | ★1010/東京銭湯物語

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


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