千代の湯(中野区)
2005年 02月 20日
今でも数多くの銭湯が残る、中野区の中部エリア。丸の内線新中野駅から北に7〜8分歩き、住宅街の中に煙突が見えたところで脇道を入ると、立派な破風の玄関を持つ千代の湯が現れます。外観周囲の左官壁は、いい感じで古びた柔らかいピンク色をしています。
とてもレトロな風情をかもし出しているこの建物が建てられたのは、創業時の昭和26年というから、何と築54年というわけです。昭和55年に男女とも半軒づつ、都合6軒から7軒間口に広げられた中普請をしたものの、基本的には建設当時のままの姿で現在にいたっているそうです。
入口の靴脱ぎ場に入ると、まず目に入るのは正面の富士山のタイル絵の壁。とても風情のあるタッチは、建設当初のもの。そして脱衣室には10円マッサージ機。懐かしい雰囲気の自販機も目に入ります。
そんなレトロな千代の湯を気さくに語ってくれたのは、番台に立つ2代目店主さんと、お姉様。「なるべく昔ながらの銭湯の形を変えないでやっていきたいと思っています。梁や柱等主要な構造材は、母の実家(能登)の山から切り出した材を使っています。親から受け継いだものですし、このままを大切にしたいんです。」との事。
洗い場に入ると、木製桶の存在がレトロ感を一層高めています。これは創業当初からずっと続く伝統だそうで、都内でも珍しい。使ってみると、あたたかみのある感触がうれしい。そして、ペンキ絵も変わりません。もちろん描きかえられてはいるのですが、職人さんにずっと同じ風景をお願いしているそうです。こだわりの風景は、西伊豆の雲見から見た富士山です。
そんな浴室で、ゆるりとひとっ風呂をいただいて脱衣室に出ると、流れているのは有線の懐メロ昭和歌謡。高齢者の方によろこんでもらっていると言う事です。常連さんと番台の会話も心地よく脱衣室に響ています。う〜ん、最初から最後までリアルレトロな銭湯満喫の取材でした!
【DATA】ちよのゆ
住所:中野区中央3-16-12
電話:03-3369-2997
営業時間:15:30~24:00
休業日:土曜日
交通:JR中央線[中野駅]よりバス[紅葉山公園下]下車、徒歩2分