日の出湯(豊島区)
2005年 10月 25日
JR山手線池袋駅東口を出て、駅前の大通りを早足で15分ほど歩くと、路面電車の線路と首都高が交差する所に辿り着く。このあたりは東池袋の再開発地域となっていて、池袋の繁華街の延長線上としてのビルやマンション群が建ち並ぶエリア。銭湯の数が減りつつあるエリアでもある。大通りから横道に入り、ビルの谷間に見え隠れする煙突を追って少し歩くと、不思議な空間に出くわす。高層ビルを背景に、八百屋や日用雑貨店がぽつり、ぽつり。かって栄ていたであろう面影をしのばす「昭和」の空気ぷんぷん、その名もレトロな「日の出優良商店街」の入り口だ。商店街名を冠した「日の出湯」の煙突は、もうかなり大きい。最寄り駅は、有楽町線「東池袋駅」もしくは都電荒川線「東池袋四丁目」。
日の出湯をきりもりするのは、ご主人と奥様、そしてお母様の三人。建物は創業時の昭和29年当初からのものなので、築51年ということになる。洗い場は、高窓からの光が差し込んでいる。先週描き変えられたばかりの、とても鮮やかな発色のペンキ絵が目を引く。こちらでは一年に一回ペンキ絵を描き変えるそうだ。(二年に一回位という銭湯が多い)。
お店の売りは、なんといっても清潔感。「お客さんには、きれいな処でキレイになって帰っていただく」ことが、変わらぬポリシーだとご主人は語る。設備的には正統派レトロ銭湯ゆえ、立ちシャワーもサウナもフロントも無い。でも浴槽いっぱいの熱いお湯と清潔感、高い天井、そして富士山がある。銭湯って、やはり本来これだけでいいのかもしれない。少なくとも近代的銭湯には無い落ち着き感があることだけは確かだ。
首都高×路面電車×高層ビル群×住宅街×踏切×レトロ商店街×昼間の銭湯。これらの空間が同時に混在する不思議空間、東池袋。レトロエリアにはレトロ銭湯がよく似合う、というかハマりすぎといった感の今回ひとっ風呂取材は、昭和への不思議タイムスリップといった趣きであった。
【DATA】ひのでゆ
住所:豊島区東池袋5-10-13
電話:03-3988-1473
営業時間:15:30~25:00(日曜日 14:30〜25:00)
休業日:月曜日(祝日の場合は翌日休)
交通:東京メトロ有楽町線[東池袋駅]より徒歩7分