藤の湯(荒川区)

★3世代、5人の看板娘 家族総出で切り盛りする藤の湯★(1010誌 79号掲載バックナンバー)

「うちは看板娘が5人いるんですよ。」銭湯の経営形態と言えば、その多くが家族経営を基本としている。しかし大抵は多少の人手不足のため、番台や裏方仕事にパートスタッフの力を借りることになる。純正家族経営となるとその数は少ないだろう。そんな中にあって、釜の管理や店の掃除等の裏方仕事からフロント担当まで、総勢8人の家族が支える藤の湯は、家族経営型銭湯の理想型かもしれない。
 藤の湯の創業は昭和27年。創業者が、親戚のアドバイスのもと、三河島の地に銭湯を開業。初めは見よう見まねで苦労も多かった。その後昭和50年に中普請をして、借地であった土地を購入。平成2年には2回目の中普請を行い、フロント形式となって現在に至る。そのフロントは4交代制。親夫婦に、息子さん夫婦、そして孫娘の3人が担当する。この7人に次男嫁さんが裏方担当として加勢。緩やかに融通をきかせつつ仕事を分担。家族全員が何らかの力になってお店を支える格好だ。
 いわく「フロントに上がり、お客さんと言葉を交わせるのがいいですね。挨拶だけでもいいんです。それができるだけでしあわせに思います。」堅実で謙虚な性格そのままの語り口。単純だけど、大切なこと。そんな思いが家族に伝わり、店の雰囲気としてお客さんに伝わっていくものだ。きっとお客さんもいい人が多いのではないかと、勝手に想像する。
 そんな藤の湯のゆくすえは?「息子夫婦が引き継ぐことになっています。現在も息子の嫁がしっかりやってくれているし、それはもちろん将来のためでもあるんです。」そしてさらに次の世代でも、お孫さん3姉妹のうち誰かが後継者として良いお婿さんを見つけてくるに違いない。この先も藤の湯は、代々引き継がれていくのだ…。と、今度は勝手な将来予測をしてしまった。しかしそのくらい風呂屋の仕事を通じた「家族力」というものを、じわ〜と感じた取材であった。

【DATA】ふじのゆ
住所:荒川区荒川3-16-4
電話:03-3807-1569
営業時間:16:00~24:00
休業日:木曜日
交通:JR常磐線[三河島駅]より徒歩7分

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by space88 | 2006-03-13 21:29 | ★1010/ちょいとひとっ風呂

東京都内の銭湯や温泉を中心とした、建築士:今井健太郎の風呂日記。雑誌1010掲載エッセイのバックナンバーもこちらでご覧頂けます。


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